会社から帰ってきて 玄関へ近付くと猫がぴゅぴゅーって走って逃げた
僕は敵じゃないのに それよりどこに隠れとったんだ
とりあえず部屋に入りスーツを脱いだ
数分後 外の様子を見に玄関の戸を開けると
またぴゅぴゅーって逃げ出した
僕は猫を追っかけた
するとW650のフロントタイヤの向うに隠れてた そしてまた逃げた
ピンっときた
こないだの深夜 みゃぁみゃぁみゃぁみゃぁ鳴いてたのもこいつなのか
そうだとすると住みついてるってことなのか もしかしてW650を寝床にしてるんじゃないか
それはいかん もしそうだったら許さんぞ
別にお前のことが憎いわけじゃない ただバイクだけはやめとこう
行くとこなくてここに来たのなら ずっといてもいいよ
だからバイクにおしっことかはダメだよ
寒いよね でもバイクカバーの中で寒さをしのぐのは禁止します
それだけはお願い
僕は懐中電灯を照らし猫の姿を探した
またどこかに隠れているのか見当たらない
あきらめて部屋に戻ろうとしたとき 階段下に小さな吹き溜まりを見つけた
よく目を凝らすと うっすらと付いた枯れ葉のくぼみに 猫が丸まって眠った跡を見つけた
ここが寝床なのか
でもまだ安心はできない
別にお前のことが憎いわけじゃなんだよ