これだけのために来たと言ってもいい それくらい楽しみにしていた
8時半 宿までバンが迎えにきた
日本語ガイドがつくツアーで参加者の日本人は僕を含め5名
エレファントキャンプへ到着し着替えをしたあと象への指示の出し方など座学を受けた
僕と同い年のメスの象にサトウキビをあげてコミュニケーションをとり いよいよ乗るときがきた
僕が体重をかけてよじ登ってもびくともしない
首の辺りに跨るよう言われ前へと体を移動させるが想像より高さがあり落ちないか心配になった
のっしのっし 分厚い皮膚越しに骨の動きが伝わってくる
登坂路やでこぼこ道では耳で僕の足を包み落ちないよう押さえていてくれるし
最初こそバランスを取るのに集中していたけど すぐに慣れてきて既に象使いになった気分になっていた
たぶん僕の言葉も通じていただろう
メコン川で水浴び
象は頭まで水に浸かり 僕は胸下まで浸かった
のっしのっし 濡れた皮膚から象の体温を感じる
約1時間ほどで戻り みんなで昼ごはんを食べ
他のみんなは午前で終わりだけど 僕は午後から洞窟へ行くプランに申し込んでいた
本当は丸一日象使いプランがよかったのだけどマホート不足で4月まで募集をしていなかった
昼ごはんを食べながら冗談で係の人にお願いしてみたら急遽オッケーが出たので洞窟へは行かず 午後からも象と一緒に過ごすこととなった
みんなが帰ったあと 僕ひとりずっと象のそばにいた
サトウキビを無限に食べ続ける象
まつ毛がかわいい
象の目に僕はどうやって映っているのだろう
僕が鼻をよしよしと手で撫でる
象はどんなふうに感じているのだろうか
顔が痒くなると木の皮が削れるくらいに木に擦り付けていたくらいだから きっと葉がかする程度のことなんだろう
耳のパタパタ
太い足と大きな爪
松の葉のように硬い毛
固く弾力のある皮膚に深いシワ
歩くたびに動く骨の動き
心地よいリズム感が愛らしい
午後も森を散歩してメコン川へ水浴びへ出かけた
牛を追い回す犬がときおりやって来る
象に乗っていれば吠えられても怖くない 襲われてもへっちゃらだった
最後に象を家まで送り届け というか背中に乗っていただけだけど
象の家でわかれた後 何個ものうんちを避けながら森を徒歩で帰ってきた
夕方からは洞窟ツアーの人たちと合流してウイスキー村へ行った後 メコン川をボートでルアンパバーンの街まで戻った
曇っていてサンセットクルーズとは行かず 寒くて震えていたけど バナナチップスを食べる手は止まらない
このままここに残り本物の象使いになる人生を想像していた